もしかして私ってクレーマー?~クレームする人の2つの心理
こんにちは
名古屋で活動中。
心理セラピストの水野まこです。
リトリーブサイコセラピーという心理療法を使って
生きづらさの原因を探り、自分らしさを取り戻すお手伝いをしています。
ここ何ヶ月、ブログの冒頭がコロナの話題から外れられません。
いつもの散歩コースで見る、自動車学校の教習場に、教習車の動きが戻ってきていたりと、
見かける光景を新鮮に感じます。
何十年も、当然にある日常に気づくこともなく生きてきて、
今回のコロナ禍は、本当にいろんなことに気づかされました。
自分の大事なことは何か、
今まで気にしてきたことは、それほどこだわる必要がないのではないか
と、考えるようになりました。
周りの流れに抵抗するのではなく、試練を自分の気づきに変えて、
自分を変えていける柔軟な生き方ができるようになっていきたいです。
さて今日は「クレームする人」です。
この題材を思いついたのは、
私自身が「あの時の言動は、クレーマーっぽいな」と、
一時期の自分の行動に対する思いが、自分の中にずっと残っているからです。
それまでクレームする人を否定的な目で見ていたのですが、
危うくは自分もなりかねないということに、経験を通して気づきました。
クレームする人はどんな心理なのか、その中で何が起こっているのか、考えてみたいと思います。
目次
1.クレームする人とは
現在、日本で使われているクレームの意味は、
語源の英語(claim)よりも広義で使われていると思います。
客である立場の人が、商品やサービスの提供側へ苦情を言う。
簡単に言うと、このようなことでしょう。
客という立場は、授業料を払う保護者や、家賃を払う住居人、税金を払う国民など、
価値に対する代金を支払う様々な立場の人が考えられます。
私の中でクレームする人とは、どんなイメージがあるかというと、
子供の頃の父の姿が思い出されます。
家族で外食をするとよくあったのが、店員さんの無愛想な態度や、
料理が出てくることが遅いことに父が腹を立て、その場で説教気味に文句を言う。
別の場面では
近所の家の落ち葉が大量に、我が家の敷地に落ちてくると、
その家の人に怒鳴り気味に苦情を言いに行く。
これを毎年、落ち葉の季節が来るたびにしていました。
揉め事が苦手だった私は、
店では居心地が悪くなり、嵐が過ぎ去るのを息を潜めて待っていました。
近所の人とは、顔を見ると後ろめたい気持ちになり、
挨拶もササッと済ませて立ち去るように過ごしていました。
しかし今になって考えると、父の主張内容自体は、それほど間違ったこととも思えません。
それなのに悪いことをした気分になっていたのは、父の態度にあったのでしょう。
私から見た父の態度の大きさを表すと
父(サービスを買う人) > 店員(サービスを買ってもらう人)
父(落ち葉を落とされた被害者) > 近所の人(落ち葉を落とした加害者)
と、自分の方が主張するだけの権利があり、立場が上なんだということが滲み出ているようでした。「威張り散らしている」そんなイメージがぴったりでした。
この父の態度が、私が思うクレームする人の2つの心理を表している気がします。
① 本来あるべき正しいと思われることを主張する
② 自分には主張する権利があり、立場が上だとの意識がある
(意識上は自分が弱い立場だと思っている場合もあります)
この2つが大小ある様々な関わり方で、クレームする人の印象は、良くも悪くも変わると思われます。
2.クレームする人は、どうしてクレームするのか?
「①正しいことを主張する」「②主張する権利がある」
この2つについて、もう少し考えてみます。
「①正しいことを主張する」の
正しいこととは、一体何でしょうか?
父の例で言えば、
・店員は無愛想ではいけない ⇒ 店員は愛想よく
・料理は時間がかかってはいけない ⇒ 料理は素早く出てくる
・落ち葉は他人の敷地に大量に落としてはいけない
⇒ 落ち葉は自分の敷地なら大量に落としてもいい
う~ん。言いたいことはわかります。
しかし言葉が示す基準が曖昧ですし、人により加減は違ってくるのかと思います。
これらは、自分の価値観で左右されるところです。
そして主張していることは、自分の価値観を正しいことと位置づけて、
相手に、自分の価値観に合っていないということを訴えているんですね。
本人は正しいことと信じて主張しているつもりでしょうが、
しかし、それを取り入れるかは相手次第になります。
現に、ご近所さんは、毎年のように落ち葉を落としていました。
これを決して悪いことではないとも思いませんが、父の主張は単なる主張なだけであって、
それは正しいことの基準ではありません。ただ単に、落ち葉を落とす側の人が、
人の迷惑に配慮できるか、できないかということだけなんですね。
ではクレームすることの何に問題を感じるかと言えば、
「②主張する権利がある」といったものが、話を難しくさせるのだと思います。
そもそも主張する権利とは、何なのか?
お店への意見も、ご近所さんに迷惑だと伝えることも、それ自体は、
買ったサービスに対して、ご近所とのつき合いとして、権利は考えずに、伝えればいいだけです。
それなのに権利という意識は、実は、
権利がないと言いたいことを主張できないという人の中に存在します。
この権利とは、自分が相手に対して主張するに相応しい位置にいるといった意識です。
この意識は、自己愛性からくる特権意識と、自己抑圧からくる正義感と、
2つのケースが考えられます。
自己愛性からくる特権意識とは
自分は王様、女王様、お姫様と、待遇される存在なんだとの意識があります。
周りの人は、自分のために利用する存在であるため、
理不尽な要求を突きつけるなど傲慢にふるまうことに、本人は疑問も抱きません。
だから、この場合の正しさは、
世間ではなく本人そのものになり、それがクレームとして現れたりします。
自己抑圧からくる正義感とは
自分は対価を払ったから、自分は被害者だから、
と世間的に認められそうな外側の基準を作り、自分をあてはめます。
そして基準に合致した場合だけ、自分に主張する権利を与えます。
逆に考えれば、権利がなければ、自分の主張も腹の中に収めているということになります。
言いたいことを言えないといった感情の抑圧をしているのです。
権利を持たない場所、例えば、家族の中や、職場の中など、自分が下の立場と感じる場所では、
主張を押し殺して我慢している、もしくは我慢してきた過去が考えられます。
だから、自分が主張していいと許可を与えた瞬間に、
抑圧していた感情までもを乗せて、怒鳴り散らす
などの行動でクレームすることになったりするのです。
そして外側の基準でしか権利を与えていないことは、「①正しいことの主張」で、
世間的に認められる正しいことだから主張するといったことにも繋がります。
普通はこうあるべきとべき論の主張になるんですね。
本当に主張したいのは、
無愛想で嫌な気分になる、料理を待たされて嫌、落ち葉を落とされて迷惑、
と自分の嫌と感じている部分のはずです。
しかし正しいが基準だと、それが世間の普通だと、
正義感を振りかざした主張に繋がってしまうのです。
3.自分を癒そう、そして自分を表現しよう
実は、「正しいことを主張」と「自己抑圧の正義感」の組み合わせは、私が経験したことです。
以前の私は、怒りや悲しみといった負の感情を抑圧して生きてきました。
これは子供の頃の家庭環境が、
負の感情を悪とし、子供にも、泣くな怒るなと躾ける家で育ってきたからです。
あのクレーム傾向の父の教えです(^^;
親自身は、感情を爆発させていながらも、
それは自分たちにも禁じ抑圧しているから、正義の名のもとに爆発するのであって、
怒り悲しみは表現しないことが良いと信じ、子供にも要求してきたんですね。
そして私自身が大人になり、何十年も抑圧してきた感情が、漏れ出してきた時期があります。
すると、あんなに拒否していた父のクレーム体質が、自分にも現れてきたのです。
クレームすることを拒否しているからか、お店で直接、クレームすることはありません。
アンケートや改善要望など、間接的に知らせる方法を使っていました。
そのときの主張内容といえば、
・望んでもいないのに、店員さんが傘の畳み方をレクチャーしてきた。
・要望に沿う商品がないからと、似た商品を出して、自分で裁縫を加えたらと提案してきた。
と、商売のプロとして配慮のない余計なお世話だ、と感じたことのクレームでした。
それまでの私なら、してこなかった主張を、するようになっていました。
お店で、その場ではっきり断れば済むことを、抑圧してわざわざ持ち越して、後から主張する。
しかし直ぐに自分の変化に気づき、
私ってクレーマーになりかけている?
と自分に返したことでストップできました。それは今でもよかったと思っています。
そして今なら、これらは、自分の心の傷が引き起こしていたことだとわかります。
自分の気持ちを無視した相手側の主張(店員さんの言動)を飲み込まないといけない
との感覚を引き起こし、それが反応して、抵抗を起こしていました。
何がいいとの自分の価値観は、子供の頃に植えつけています。
自己表現をすることを学ばずに、自分を押し殺して感情を抑圧することも、
子供の頃から身につけてきたことです。
自分の中に閉じ込めた苦しさが、外に漏れ出していく形で、
クレームの行動を引き起こしていたのだと思います。
自分の中にある心の問題を解決していけば、
心の痛みから起因する主張したい気持ちは薄らぎます。
そして、自分が主張したいことは、世間の正しいに照らし合わせなくても、
気持ちとして伝えるといった形も選択できるようになります。
もし自分の言動にクレーマーっぽい?
って疑問がわいたなら、自分に問いかけてあげてください。
本当に言いたいことは何?
自分の心の声を聞いて寄り添ってあげることから癒しは始まります。
自分を大切にしてあげてくださいね。
心の問題解決には、過去の記事も参考にしてください。
など
今日は、ここまで。自分の経験からクレームする心理を考えてみました。
ありがとうございました(^^)/