人に相談しない人・自分で考えない人の二極性を持つ人の心理

こんにちは
名古屋から心理についての情報を発信しています。

アダルトチルドレンの心の回復の道のりを経て、最近の私は随分と怒りの反応が薄くなりました。
しかしどうにもこうにも、密接に関わらなくてはいけない仕事上の相棒のような人にだけ、苛立つことが以前よりも増えているように感じます。

一時的な感情の反応が強くなる替わりに、持続性が弱くなるのが、順調な心の回復過程でもあります。
私も「困ることは我慢せずに気持ちを伝える ⇒ 終わり」という尾を引かないパターンが定番になってきてはいるのですが、相棒さんとの間で日々様々な問題が発生します。

なぜそこまで問題が頻発するのか、パターンは決まっています。

とにかく、仕事上の意識が合わない合わない。
よくこれで長年一緒に仕事を続けられてきたなと、つくづく思います。

私の方が年配なこともあり、以前は私がリーダーポジションで仕事の指針を示してきたのですが、近年チームが拡大し、相棒さんにもリーダーポジションを任せて、私と相棒さんと二人でチームを回しましょう、となったのがここ数年のことです。

そこから、意識のズレが頻発するようになりました。

細かいことを省略してしまえば、
タイトル通り「人に相談しない人・自分で考えない人」が相棒さんの特徴として表出してきて、これに苦戦する日々を送っています。

①人に相談しない人 ⇒ 自分の考えで物事を進める人
②自分で考えない人 ⇒ 自分で考える前に人に頼る人

一見、相反するこの特徴が両極端で現れるため、

①仕事を任せてしまうと、人に相談もなく、仕事自体の意図からズレたものが出来上がる
②意識を合わせようと話をすると、自分でまったく考えようとせずに指示待ち状態になる

ということが起こり、「その二極の中間はないんか!!私は話し合いがしたいんだよ!!」ということで悩まされます。

これが指示を受けて作業するだけのポジションなら影響も軽くはなりますが、部下を抱えるリーダーとなると、実に困った問題になります。

仕事の適正諸々の問題はあるとしても、ここは心理のお話をする場なので、この両極性がどのようなことなのか掘り下げていきます。

1.どんな問題が起こるのか?(他人軸、責任転嫁、責任回避)

前項で示した
①人に相談しない人 ⇒ 自分の考えで物事を進める人
②自分で考えない人 ⇒ 自分で考える前に人に頼る人

この両極性を持つ人にとって、これはその人のコミュニケーションのパターンと考えます。

①人に相談しない人 ⇒ 自分の考えで物事を進める人

自分一人や、自分より弱い立場の人との関係では、「自分の考えで物事を進める人」の一面が現れます。

ここで問題になってくるのが、「自分の考え」が何か?ということです。
この考えが、現実の状況立場に合ったものであれば問題にはなりません

しかし、例えば仕事の場合、
仕事自体の目的よりも、その環境下で自分が人にどう見られるか?が優先された考えになると

⇒本来の仕事の目的からズレたことをしていても気づかなかったり、自分がやりたいことだけをして満足したりと、仕事の完成に繋がらないような問題になります。

②自分で考えない人 ⇒ 自分で考える前に人に頼る人

そしてもう一方の「自分で考える前に人に頼る人」の一面は、本人が自分よりも上と感じる相手とのコミュニケーションで現れます。

自分で「考える・調べる・相談する」よりも前に、結論そのものを人に貰おうとする、自分の意見を言わずに「どうしたらいいか?」と漠然と質問するなどで、自分の思考を停止して、相手の言葉を鵜呑みする状態になります。

試しに「自分はどうしたいの?」と問い返しても、「これはどっち(が正解)か?」と言い方を変えるだけの質問が返ってきて、頑なに自分の意見を持たないように感じます。責任ある立場であるほど、この状態はとても厳しいものです。

この①②のどちらか一方だけが強く現れる人もいますが、今回の話は、①②の二面性で現れることに特徴を置いています。

これら①②で実際に問題が起こると、この特徴を持つ意味が明確になってきます。

自分の考えで物事を進めて行き詰まると、自分で考える前に人に頼る傾向が現れます。

人からもらった意見を結論として取り入れて、それが後に問題となったとき、「〇〇さんが言ったから」という、よく聞きそうな責任転嫁を起こします。

①で問題が起こると「知らなかった」が理由となります。
それなら事前に意識を合わせようよ、とすれば、②になる。①と②の繰り返しにしかなりません。

どちらかにしかならない極端なこの状況は、逆説的にすると、自分の思い通りにしながらも自分が非を被らないための手段で、当人にとっては都合のいい状態だと考えられます。

本人が気づいて、少しずつでも改善していけばいいのですが、
心理的な問題が絡んでいる場合、本人の無意識で行動するため、改善していくことが難しい状態にあります。

2.心の中で何が起こっているのか?(自己愛性人格、幼児的万能感)

心理的な問題が絡んだコミュニケーションパターンは、育った家族の中でのコミュニケーションの再現とも考えられています。

①弱い人相手には自分を出す
②強い人相手には自分を消す

この二極性、支配と依存の二極性ですよね。
家族の中で親に支配されてきた、気づけば親と同じコミュニケーションパターンだ、ということがあるのではないでしょうか。

この二極化は、自己愛性の特徴である自己イメージ(理想の自分・ダメな自分)の二分化の現われとも考えられ、自己愛性の問題と関連づけできます。

(自己愛性人格障害の特徴の傾向があることを、ここでは自己愛性と呼びます)

ちなみに自己愛自体は、自分を愛する大切な感情です。

自己愛性の反応も、多くの人が多少なり持っていて、自分と周りが困らない程度であれば、特に問題でも悪いことでもありません。

しかし前項ように仕事など周囲に影響が出ると、周りが困る問題となります。

前項から例に上げている「二極性⇒責任回避」の状態は、
自分に汚点があってはいけないという自己愛性の特徴に当てはまります。

自己愛性の深層心理には自己否定・劣等感の問題があり、恥の感情となって現れます。
自己愛性が強いほど大きな反応となるため、失敗に対する恐れを過剰に抱きます。

そもそも自己愛とは、幼少期から自我が育まれ、小さな挫折を繰り返しながら、大人になって等身大の自分を受け入れられていることが健全な状態です。

それが愛着の問題を抱えるなどして、現実の自分から乖離すればするほど、自己愛性の問題も大きくなります。幼児期の万能感(何でも思い通りになるという幻想)をそのまま引きずって、自分や周囲の現状に見合わない行動として現れたりします。(幼児的万能感)

恥の恐怖から逃れるために、誇大な自己イメージの理想像を作り出し、その現実離れした幻想を守ろうとすることが、他人との調和を乱していきます。

①自分でコントロール出来る世界では、自分の思い通りにふるまって万能感を得る。
②自分が劣ると感じる場面では、恥をかかないように思考を停止して他人の意見にぶら下がり、自分の幻想を守る。

兎にも角にも理想の自分が崩れるような非があってはならない

この強固な恐れが、自分に問題があると認められない無意識の行動になり、改善に向かい難い状況を作ってしまいます。

自己愛性の問題が解決しにくいのは、周りの人が困っていても、本人は幻想の中で、現実と向き合う恐怖から回避できている状況の方が楽であることにあります。

もし自分に心当たりがあるなら、等身大の自分と向き合う勇気をもって進んでほしいです。

等身大の自分を受け入れることは、自己肯定感と呼ばれるものです。
本当の自分は、理想ほど大きくもなく、恐れるほど小さくもないはずです。

そのためにまず必要なことは、自分が自分の問題を受け入れること
これがなくては何も始まらない。気づくだけでも大きな進歩です。

自分がひた隠しにしている心の傷と向き合うのは、本当にもの凄く痛いです。
けれど向き合って、わんわん泣いて、癒えてくると、怖いものではなくなります。

一方で、周り側の立場として言えるのは、相手は変わらないという前提で、自分自身がどうしたいかを考えて行動していくことが必要と思います。

自分で変わろうと思っていない相手が変わることを期待しても、おそらく叶うことはありません。
(だからと言っても、まずは気持ちを伝えるなどで関係の改善を努力してみることは大事なことです)

自分にとって良い選択ができるように、自分自身の心の問題をクリアにしていくことを大切にしていきましょう。