決めつけられるのが苦手~決めつける人の心理

こんにちは

名古屋で活動中。
心理セラピストの水野まこです。

リトリーブサイコセラピーという心理療法を使って
生き辛さの原因を探り、自分らしさを取り戻すお手伝いをしています。

緊急事態宣言が全国に発令されてから一週間が経ちます。
私がいる名古屋も国からの要請によって、一段階、対応が引き締められた感じを受けています。

何とか、感染拡大を防ぐのはもちろんのこと、終息の希望が見いだせる状況を願うばかりです。

もう一度、穏やかな楽しい時間を取り戻すために、今は耐えしのぐとき。
不自由な中での過ごし方を見つけていきましょう。

さて今日の話題は、「決めつけ」についてです。

人との会話で、相手が自分の気持ちを決めつけて話してくる場面は、ありませんか。
私は、この「決めつけられること」が苦手でした。

決めつけられるのは、気持ちだけではなく、私の場合は、
学歴や育った環境が自分の理解よりも高く見積もられて、嫌な気分になった過去が何度かあります。

私のふるまいの生真面目な部分に、
「さぞかし親御さんが大事に育てたんでしょうね」なんて、
親の育て方が良かったみたいに言われるのは嫌でしたね(^^;)

そして、この「決めつけ」を、実は自分が他人にするときも、あります。

人はなぜ人のことを決めつけるのか、決めつけられて不快に思うのはなぜか

決めつけることについて、考えてみたいと思います。

1.決めつける人とは

「あなたはこうよね」と決めつけること。

これは一種の「レッテル(ラベル)貼り」だなと感じます。

行動Aを見て、直接の感想で「あなたはラベルAよね」なら、まだわかりますが、
行動Aを見て、連想した感想で「あなたはラベルBよね」と、
本人の意図とまったく違うラベルが貼られることがあります。

昔、こんなことがありました。
上司から仕事の指示をされたときの話です。

私がリーダーを務めるチームの一番戦力であるメンバー1名を、別の部署の仕事へ引き抜くとの話がありました。上司からは、スケジュール変更を準備するようにと指示がありました。

上司から話を聞いた私は、その場で即座に承諾できず
そう言われても…」と言いかけて、言葉を濁しました。

上司は「何だ?」と問い詰めてきました。

私は「すぐに、わかりましたとは言えません」と返しました。その直後です。

上司は急に「お前は、縄張り意識が強いんだ!」と怒鳴ってきたのです。

さて、この件は、言葉のやりとりだけ見ていると、
第三者には、何のこっちゃ?!って話ではないでしょう。

私の言葉「そう言われても…」「すぐに、わかりましたとは言えません」と濁す
⇒行動A

上司の言葉「お前は、縄張り意識が強いんだ!」と怒鳴る
⇒ラベルB

切り抜くと、これだけです。

これは、言葉になっていない隠れた心理を展開すると、このような感じになります。

上司から、メンバー1名の引き抜きとスケジュール変更の指示

↓↓↓

私の思考⇒(私一人に言われても、他のチームも含めたプロジェクト全体の問題でしょ。責任者Yさんと一緒に考えないと)

↓↓↓

私の言葉「そう言われても…」「すぐに、わかりましたとは言えません」と濁す
⇒行動A

↓↓↓

上司の思考⇒(こいつ自分のチームメンバーを囲いたくて、嫌がっている)

↓↓↓

上司の言葉「お前は、縄張り意識が強いんだ!」と怒鳴る
⇒ラベルB

おわかりだと思いますが、(上司の思考)は、私の思いを想像しています。
ですが、(私の思考)とはまったく違い、存在しなかった思いを作り上げています

私も自分の思考を伝えておらず、上司も私の思考を聞かず、
言葉のはしくれだけで、この展開になっているのです。

このあと、話し合いで、意識のずれを確認できましたが、先に確認できていれば、
急に批判的な言葉で怒鳴られるようなことは、なかったかもしれません。

もしかすると、上司の中に、私の過去のふるまいで、
縄張り意識が強いなーと思ったことがあって、それを持ち出してしまった可能性もあります。

いずれにせよ、このように極端な反応の場合は、
決めつける側の心の問題が反映されていると思われます。

2.決めつける人の中で起こっていること

人を決めつける人には、次のパターンがあるように感じます。

■相手を否定的に見て決めつける
 相手の言動に批判的な解釈をした上で、
 そのまま批判したり、不要なアドバイスに転換する(見下しの傾向)

■相手を好意的に見て理想化する
 相手を素晴らしい人と好意的に解釈した上で、
 褒め称えたり、特別な人と思い込む(理想化の傾向)

■相手に自分を重ねて自分と同化する
 相手の辛い話など、自分の経験と重ねて、
 自分の気持ちが相手の気持ちと同じだと思い込む(境界線が曖昧)

これらは、自分の色眼鏡で相手を見て、それが事実であるのか疑いもしない状態にあります。
投影を起こしている、妄想をしている、心理的な問題が見え隠れします。

なぜこのような状態になるのか?

その人にとって、この決めつけた状態が都合がいいために、
無意識に行っていると考えられます。

例えば、このようなメリット

・相手を批判していれば自分を正当化できる
・相手を悪く見積もっておけば、自分がそれ以上傷つくことがない

・相手を理想化し追うことで虚無感が埋められる
・理想の相手に近づくことで、自分の無価値感を埋められる

・自分では抑圧して感じられないことを、人を通して感じられる
・自分と同感する人がいることで、自己を肯定できる

など

これらはすべて、自分一人では得られないものです。

相手を使うことによって、
自分が欲している感覚を埋めたり、
自分で認めたくないことを相手に重ねて否定したりして
得ているのです。

見ているのは目の前の相手でなく、相手に映した自分の感覚なんですね。

ちなみに、決めつけで見る人の中には、単純に人に興味がない、視野が狭い人の場合もあります。
決めつけてくる人のすべてが、一概に、その人の問題とも言えません。

もしかすると、自分側の問題が反応しているとも考えられます。

3.決めつけられるのが苦手な人の問題

ここまで、決めつける人について話してきましたが、
決めつけられる側についても、目を向けてみます。

1項の例で示したように、決めつけられて怒鳴られるようなことがあれば、
誰もが不快に感じることでしょう。

しかし、単純な相手の思い込み程度のことを言われただけで、
不快が長引くようであれば、決めつけられた側のトラウマの問題も考えられます。

例えば、冒頭で少し話したことです。

私のふるまいで、「親の育て方がよかった」と決めつけて言われることがあります。
私の中には、親に大切に育てられた感覚が薄いことが、トラウマとして根づいていました。

そこへ、私が抱えている苦労には目を向けられずに、私の中で認めていない親の育て方を、評価されると、誰にも辛さをわかってもらえない、との感覚が大きく反応して、嫌な気持ちを感じていました。

この場合
・行動A⇒私のふるまい
・ラベルB⇒親の育て方がいい →これがトラウマに引っかかる
といった具合です。

本当の気持ちは
・行動A⇒私のふるまい
・ラベルA⇒自分で頑張ってきた →これをわかってほしい

なんですね。

自分が抱えているトラウマが大きく、誰かにわかってもらいたい感覚が強いほど、
決めつけられたときの反応が大きくなるのかもしれません。

そしてもう一つ
決めつけられることが苦手な人が、他者への決めつけをしていることがあります。

私の経験ですが、
誰かに決めつけられることが何度か繰り返されると、突如として限界を超えて、相手に嫌な感情を抱くようになります。

一度嫌な感情に転換すると、どうせこの人には分からないだろうといった考えが先走り、その相手が何を言っても、受け付けなくなる、といったことがありました。

これは、2項でお伝えした
相手を悪く見積もっておけば、自分がそれ以上傷つくことがないメリットがあると考えます。

このように、心の問題から、
決めつけたり、決めつけられるのを嫌がったりとの反応が起きます。

決めつける側であっても、決めつけられる側であっても、心の問題にとらわれて、
実は、自分のことも、相手のことも、本当には見えていなかったりするんですね。

相手と、どのようにキャッチボールするかは、自分次第です。

自分の心の問題を解決していくことで、
自分のことも、相手のことも、もっと知っていけるように、なっていくのではないでしょうか。

ここまで、今回は「決めつける人」「決めつけられる人」について考えてきました。

心の問題の解決には、自分に目を向けることが必要です。
自分の問題に気づき、解決していけば、いろんな場面で生き辛さが解消していきます。

これからも、自分のために、自分を大切にしていきましょう。

心の問題解決には、過去の関連記事も参考にしてくださいね。

生き辛さの話

自他の境界線の話

価値観の歪みの話

自分軸と他人軸の話

理想化とこき下ろしの話

今日は、ここまでです。

ありがとうございました(^^)/

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