責任感があるの?ないの?~人には厳しく自分には甘いあの人の心理
こんにちは
名古屋で活動中。
心理セラピストの水野まこです。
リトリーブサイコセラピーという心理療法を使って
生きづらさの原因を探り、自分らしさを取り戻すお手伝いをしています。
大雨が続いています。
毎年毎年、記録的豪雨とか観測史上といった言葉で、全国点々と大変な災害が起こっています。
線状降水帯という言葉を知ったのも近年のことのような気がします。
かつて私の実家も床上浸水の被害を二度経験していますが、
浸水のあとは、家の中が泥まみれで、簡単には戻らない状況になります。
家族も家も残っているだけましといった考えもあると思いますが、
それでも思い出の写真が復元できなかったりと、
お金では戻らないものを失くすことは、たいへん悲しいことです。
今までも大きな災害のあとに、人が困難から這い上がる姿がありました。
人には、前に進む力があると信じたいです。
被害に合われた方には、少しでも早く、安心できる時間が取り戻せるように、祈っています。
さて今日は、私の周りのちょっと気になったあの人をテーマに考えてみます。
題して「人には厳しく自分には甘いあの人の心理」です。
私自身は、「人には厳しく自分には甘い人」のような一見身勝手に思える行動に、
禁止令をかけてきました。だからそれを実現している人が気になって仕方がなかった。
かつては、そういった人を見ては、感じたものを怒りに転嫁していましたが、
今はフムフムと観察の目で見ています。
この「人には厳しく自分には甘い人」とは?
その人の中で何が起こっているのか、考えていきたいと思います。
目次
1.人には厳しく自分には甘いあの人
人には厳しく自分には甘~く見える人をたまに見かけます。
イヤイヤもしかすると家族の中に、いたかもしれません。
子供には叱るのに、親は自分の失敗の非は絶対に認めずに、
うまく誤魔化していることもあると思います。
そのような人を間近に見てきた人の中には、
人は平等に、自分のことは棚上げしないなど、自分に制限をかけている人もいます。
そういった人からすると、人に厳しく自分に甘いのような一貫性のない人の態度は、
軽率で身勝手に感じたりするかもしれません。
しかし一見身勝手に見えるあの人の行動は、心理的な問題が起こしている可能性があります。
例えばこんな人
今日はAさんを例にして考えていきます。
Aさんは、役職のない中堅社員。
管理職の指示に従いながら、後輩と共に作業をする立場にいます。
Aさんは、他人について、ぼやくことが多く、普段はこんなことをよく言います。
①人使いの荒い上司Bさんに対して
「(上司Bは)人使いが荒い、何でも丸投げしやがる。きちんと指示出せよ!!」
少々人使いの荒い上司Bさんからは、仕事を丸投げされたと感じることがよくあります。Aさんは、いつもそれに腹を立てているようです。
我慢ならないときは、上司Bさんに対して、詳細な指示を出すように訴えて、上司の指示下で作業をするようにしています。
別の日には、こんなことも
②仕事ができない後輩Cさんに対して
「(後輩Cは)何回同じことを言わせるんだ。きちんと自分の仕事に責任持ってやれ!!」
後輩Cさんの物覚えの悪さや、気の利かない行動にイライラすることが多く、直接本人にも上記のような言葉で叱責し、後輩Cさんが失敗なく作業するように改善を求めます。
この様子を見ていると、Aさんは、役割意識がしっかりしていて、
その責任をまっとうするプロ意識が高い人にも感じます。
しかしこのAさん、実はこの厳しい一面とは裏腹に、別の場面ではこんな発言をするのです。
③人当たりの良い上司Dさんに対して
Aさん所属のプロジェクトで、休日にお客様側の緊急対応の予定が入りました。上司Dさんは、その日に職場待機して問い合わせ対応ができるメンバーを募っていました。
そこでのAさんの行動は、真っ先に「その日、出勤できます」と名乗り出ます。
しかしそのあと、驚きの言葉を聞くことになります。
「予定外のことがあっても、何もできませんけどね!」と言い切ります。
今回の仕事は、お客様からの問い合わせがあった場合=予定外のこと、のために待機する仕事でした。
予定外のことがあっても、何もしない。
つまり、「ただいるだけで、作業できなくていいなら、やりますよ」と言っているようなものです。
別の場面では、
④優秀で頼りになる後輩Eさんに対して
Aさんのもとへ別の部署から作業Zの手順書を送ってほしいと要請がきました。
作業Zは久しぶりに発生する作業で、Aさん自身は経験がありません。前任者から引き継いだ作業Zの手順書を引っ張り出しました。
するとそこでAさんは、後輩Eさんに手順書を確認するように指示を出します。
後輩Eさんは優秀で頼りになる人。そのEさんに向かってAさんは、こう言いました。
「合っているか、きちんと確認してくれよ。もし間違っていたら(オレが)指摘されるから」
手順書を求められているのはAさんです。本来、後輩Eさんの仕事ではありません。
①と②の場面までは、プロ意識が高いと感じられたAさんでしたが、
③と④の場面では、まるで別人のように、無責任さを感じます。
なぜこんなに違うのかというと、
①②は他人が持つべき責任の話で、そこは厳しく、
③④は自分の責任の話で、そこは放棄したり他人に押しやるといった、
表題の「人には厳しく自分には甘いあの人」の通りだからです。
場面と相手によって、
自分の位置を上へ持っていったり、下へ持っていったりと、都合よく変えていますよね。
ではなぜ、このようなことを行うのか、次項で考えていきます。
2.人には厳しく自分には甘い人の正体
前項で例にしたAさん、人と場面で態度が変わるのはわかるのですが、
具体的にどのようなことをしているのか?
これを分析してみると、Aさんの中に次のような意図が考えられます。
①人使いの荒い上司Bさんに対して
仕事が丸投げされると不満
⇒ 仕事=責任、が自分に投げられることと捉えている。
だから、責任は上司が持つべき。部下の自分は、
指示どおりに作業だけをして、責任は持たなくていいように求めている。
つまり「オレに責任を持たすな、おまえがすべての責任を持て」ということ
②仕事ができない後輩Cさんに対して
責任感を持てと叱責
⇒ 指導している後輩の失敗は、Aさんの責任にもなる。
だから、失敗をしないように求めている。
つまり「オレに責任がかからないように、おまえが自分で責任で完璧にやれ」ということ
③人当たりのいい上司Dさんに対して
責任は持てないけど、活躍させて
⇒ ワガママを言っても咎めることなく引き受けてくれる上司に対して、
自分勝手な要求を出している。
つまり「活躍はしたいけど、責任は持ちたくないから、持たせないで」ということ
④優秀で頼りになる後輩Eさんに対して
オレが指摘されないようにしろ
⇒ 頼れる後輩に甘えながら、先輩の立場を利用して、
オレが困らないようにオレの面倒見ろと身勝手な要求を出している。
つまり「オレの責任は、おまえが持て」ということ
これを見るとわかるのですが、すべて、
自分は責任を持ちたくない、だからあなたが責任を持ってと言っているのです。
このAさんは、場面や相手により、態度や言い方を変えながら、
自分が責任を持つことを断固拒否している状態なんですね。
3.責任を持ちたくない人の中で起こっていること
Aさんのように、責任を持ちたくない人は、必要以上に責任に注目しているように感じます。
大人である以上、自分の行動には責任が伴うのが当然なのですが、当然なことだからこそ、
仕事の作業一つ一つに責任責任と念ずるほど意識する必要もない気がします。
誰も責任を追求しようとしない場面で、
あえて責任を意図する言葉を持ち出し、その所在を明らかにしようとする。
これは、自分の行動は自分で責任を持つ前提が抜けているからこそ、
言葉にして責任を自分から切り離そうとしているように思えます。
その背景には、自分の行動が失敗したときに、
誰かに咎められる、責められるとの予期不安がそうさせているのではないでしょうか。
しかしその一方で、責任を持たないことには、メリットもあります。
前項の③人当たりのいい上司、③頼りになる後輩を相手にしたときのように、
自分のわがままを通し、
・自分では嫌なことをやらなくていい
・何かあったときに人にせいにできる
という好都合のこともあります。
責任を持たないということは、
怖いことを避ける、楽でいられると、2つの大きなメリットが絡んでいるんですね。
責任に対する大きな恐怖や、責任を持たないメリットには、
幼少期の経験が影響していることが考えられます。
・親が支配的で言うことを聞いていれば楽だった(メリット)
・自分が悪いことをしていなくても、叱られた(他人の責任を持つ恐怖)
・自分ができない人間だと刷り込まれた(自分で責任を持つ恐怖)
など
が影響し、人の責任も自分の責任も持ちたくない。
だから責任を持たない人が許せないし、自分が責任を持つこともイヤと、
身勝手に見える矛盾したふるまいになるのではないでしょうか。
今回は、Aさんを題材に人には厳しく自分には甘いあの人といった表現で考えてみましたが、
もし自分にこの傾向があると気づいたなら、
責任を持つことが怖いということを自分で認めてください。
その上で、自分がどのように変わっていきたいかを、考えてみてください。
自分を変えるには、
自分を知る
どうなりたいかを考える
どうしたらいいかを考える
行動する
心の問題解決には、過去の記事も参考にしてくださいね。
今日はここまでです。
ありがとうございました(^^)/